現実世界で捕まえて

「最初のお願いは、お金が欲しいです」

「金額は?」

「無制限」金額の基準が自分でもわからないんだけど、一応ダメ元で言ってみると

「わかりました」って簡単に返事が返ってきた。

「いいの?無制限だよ」

「死神に不可能はありません」

まーじーでー?本当に?

「ではもう一度正式に、空に向かって言って下さい」

「空?」

「天井でいいでしょう。神様にお願いする形式で上を見ればいいんです」
早口で急かされたように男に言われて、私は焦って手を合わせ上を見て、目を閉じて声を出す。

「神様お願いします。お金を無制限で下さい」
思わず柏手を打ちそうになってしまう。ここは神社じゃないし。自宅だし。
すると遠くの方で澄んだ鐘の音が聞こえた。
心が洗われるような綺麗な鐘の音だった。

「願いは叶えられました」
男は一枚のカードを私の目の前に差し出した。

ごくごく普通のゴールドのカード。
私の名前と16桁の番号が打ち出されてある、普通のカード。

「貴女しか引き出す事ができない無制限カードです」

「これが?」

「暗証番号は1059。テンゴクです」

それってベタですけど。

「貴女にしか使えません。他の人が盗んで使うと神センサーが反応して電気ショックが流れます」

いや怖すぎますけど。

「残る願いは4つになりました」

あと4つ終わると、私は死んでしまう。
複雑な想いで男から渡されたカードを手にして、私は一枚の重さをヒシヒシ感じていた。





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