現実世界で捕まえて

「留美ちゃんはいい子だよ。仕事は丁寧だし優しいし、あぁ見えてたまに突っ走るとこもあるけどさ」

「うん。地味だけどいい子。頼まれたら断れないし」

先輩達の笑い声が重なる。

「藤沢先輩がテキパキした美人だから、土屋先輩は影が薄いイメージがある。あ、悪口じゃないですよ」

「先輩に向かってヒドいじゃん」

「だから悪口じゃないって、萌香なんて先輩に自分の仕事押しつけて、残業しないで遊びに行ってるくせに」

「だって土屋先輩、優しいんだもん」

私と桜子ちゃん以外の女子社員は、休憩室で楽しそうに笑ってた。

そんな評価か
影が薄くて悪かったね!

「留美ちゃんもね、もう少し……こう……なんて言えばいいのかなぁ。やっぱり地味だよね。でもいい子よ」

「頼まれたら嫌って言えない土屋先輩は、とっても貴重なありがたい存在だから、みんなで大切にしましょう」

「それって利用してるみたい」

「違うよぅ」

笑い声が高くなって盛り上がる。

女子社員あるある。
集まるとその場に居ない子を攻撃する。
順番で色んな子が標的になる。

桜子ちゃんと私は誰かを攻撃する話にはのらないけれど、私達以外の皆さんはそーゆー話が好きらしい。

あるある話だけど
直接に陰口を聞かされたらテンション下がるわ。

私はお弁当を持ち
自分の席に戻って行った。





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