現実世界で捕まえて

机の上でコソコソとお弁当のふたを開けると

なんて見事なお弁当。
彩りもよく美しい。
ミルフィーユのような玉子焼き。
ポテトサラダが美味しそう
朝から竜田揚げ作ったのね死神さん
スゴすぎる。

味も最高に美味しい。
人に作ってもらうって美味しいね。
美味しい物を食べると、低かったテンションも上がっていくよ。
死神さんありがとう。
明日も作って下さい。

幸せ気分でお弁当を食べてたら

「うまそう」って背中から声がして、振り返ると平野課長が立っていた。

うぐっ……喉が詰まる。

「土屋さんの弁当って豪華。うまそう」

「ありがとうございます」

作ったのは私じゃないけど、ありがとうございます。

「どしたの?こんな場所で食べて」

「あの……電話当番なんです」

「そっか。ここの会社の女の子って偉いよね。午後のコーヒーも入れてくれるし。本社の女の子に電話番なんて頼んだらパワハラって訴えられるよ」

「小さな会社ですから」

「でもいい子が多い。土屋さんみたいな可愛い子もいて、ずーっと居たいぐらいだなぁ」

可愛い?私が可愛い?
お世辞ってわかるけど嬉しくて泣けそう。

「平野課長はいつ本社へ戻るんでしたっけ?」

「あと半年」
サラリと言い、課長は自分の席に座る。

あと半年。
私の命と一緒。



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