現実世界で捕まえて

「その前にさ、よかったら土屋さん。俺とご飯でもどう?」

「はい……え?」

さりげなく言われすぎて、内容が頭の中に入ってなかった。
聞き間違えた?
驚いて箸を落しそうになってると

「平野君。ちょっといいかな?」
ずーっと奥の重役室から専務の声が聞こえてきた。

「はい。今、行きます」
課長は大きく返事をし、私の頭をポンポンって軽く叩いてから足早に専務の元へ行ってしまった。

ご飯誘われた?
いや……まさか。聞き間違い?

美味しいお弁当も喉を通らないくらい、気分が上がってカーッと顔が赤くなる。
ただの冗談かもしれないけど、嬉しい。
頭をポンポンされちゃった。

ここで食べてよかった。

結果オーライだったね。

やっぱり生きてるって素敵だな。
こんな事で世界がキラキラしているよ。

ごめんね桜子ちゃん。
桜子ちゃんは反対するかもしれないけど

やっぱり私は

平野課長が好き。






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