現実世界で捕まえて
席に着いてパソコンを立ち上げる。
保険のおばさんからもらった卓上カレンダーを手にして、カレンダーを確認。
忙しい時期を避けて有休を取り、海外でも行こうか。
行った事のない場所が沢山あるもの。
国内すら行ってないけどね。
まずはハワイ?イギリスとか行ってみたいな。
世界遺産の旅に出かけようか。
あと4つお願いできるから
世界中の言葉を理解できるお願いしようかなぁ。
海外旅行に行っても言葉がわからないとつまらない。
そして絶対騙される可能性もある。
ちょっと考えてみよう。
「バレンタインの心配?」
いつの間にか後ろに平野課長が立っている。
カレンダーに夢中になっていて、気付くのが遅れてしまった。焦るっ!
「いえ。今月の〆日は何曜日かなーって思って見てました」
ウソですけど。
「なーんだ。バレンタインチョコの心配かなーって思ってた」
「私。あげる人がいなくて」
「本当?俺がチョコ待ってていい?」
「はい?」
思わず振り向いてその顔を見上げると
平野課長は照れながら
「土屋さんのチョコ待ってていい?」って私だけに聞こえる声でそう言った。
心臓のドキドキが止まらない。
胸が熱くなり顔が熱くなり
苦しくなってきた。
これ……現実?
「はい」
何とか返事をすると
「ありがとう。お礼は任せて」
さりげなく課長はそう言い、経理の方に行ってしまった。
土屋留美……命のカウントダウンを数えながらも
恋が止まりません。