現実世界で捕まえて
「まず飲んで落ち着きましょう」
「はい」
ゆっくり手を伸ばして冷たいビールを喉に送ると、少し落ち着いて来たかもしれない。
「チーズかキャビアはありませんか?」
「キノコの山ならあるけれど」
「僕はタケノコ派だからいいです」
キノコ美味しいじゃん。サクサクって美味しいじゃん。
「土屋 留美(つちや るみ)さん」
「はい」
「僕は死神です」
「いやもうそれやめて下さい。催眠術師なメンタリストで気象予報士の強盗でしょう」
「あなた今朝、小学生の命を救いましたね」
男は優雅に右手を宙にかざすと、一冊の本がどこからともなく現れた。
イリュージョンする人?
黒い表紙の本は金のふちどりが付いていて、とっても重々しく高価な本に見える。
男はその本のページをめくり事務的に話を続けた。
「土屋留美は午前7時35分。出勤の為、〇×駅へと足を進めていた所、ゲーム機を持って歩いていた小学校1年生の少年Aと遭遇接触。少年は衝撃でゲーム機を車道に転がし、それを追って車道へ出ると大型トラックが迫って来て足がすくみその場に座り込んだ所、土屋留美は走って少年を抱き上げ歩道に戻し少年は命を救われた」
この人……何で知ってるの?
ストーカーか?