現実世界で捕まえて

次の日。

「お仕事終わった?」
けっこう遅くまで頑張ってたようですね死神さん。

「終わりました。これで堂々と行動できます」
満足そうにそう言って、私にお弁当を渡してくれた。

「お疲れ様でした。では行ってきます」

いざ出社。

あぁ昨日までと景色が違う。
恋って不思議。

ご機嫌で会社に到着。
今日はお茶当番だ。桜子ちゃんに今日こそ話をしよう。
たとえ桜子ちゃんが平野課長を誤解していても、私は平野課長に夢中だって素直に言おう。
誤解があったら誤解を解こう。
そして桜子ちゃんと桜子ちゃんの彼と、私と平野課長とダブルデートをしよう。
うん。それを目標に頑張ろう。
きっと桜子ちゃんも平野課長を好きになってくれるはず。

そう考えながら湯のみを並べていると
あれ?この湯のみは誰だっけ?誰か新しいの買った?

「ごめん遅れた」
桜子ちゃんがやってきた。

「いいよ大丈夫。ねぇ桜子ちゃん。この黒い湯のみって誰のだっけ?」
目の前の疑問を桜子ちゃんにぶつけると

「どしたの急に?経理係長のでしょ」って普通に返事。

経理係長?あれ?経理は課長しかいないよ。係長っていないよね。

頭の中に疑問を持ちながらお茶の用意をしていたら

「今日はなーんか綺麗ですね。土屋留美さん」
桜子ちゃんは、ふざけてそんな声を出す。

「普通だよ。普通」

「声が高くなってるよ。はっきり教えなさい」

「お茶を出し終わったら話す」

「よし。じゃぁ行くか。私は手前の方やるから、留美は経理の方行って」

「了解」

「最初から最後まで話しなさいよ」
綺麗な顔でギロリとにらまれてしまった。
はい。お茶を配り終わったら全て話します。
< 52 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop