現実世界で捕まえて
楽しい土曜日。
服からバッグから靴から
おしゃれなショップのお姉さんに上から下まで揃えてもらい、平野課長とのデートに備える。
ナチュラルに見えるメイクも完璧。
土台が良くないので、無理をしてはいけない。
ナチュラル見せで行こう。
気合十分だけど、家を出る時はコソコソしてしまう。
「いってらっしゃい」
氷のような冷たい目で私を見ないで下さいっ!
「行ってきます」
逃げるが勝ち。
私は視線を合わせないようにマンションを後にした。
あぁ外の空気が美味しい。
冬のピリッとした冷たい空気だけれど、ヤツより温かく感じるのはナゼだろう。
「よしっ!」
気持ちを切り替え
平野課長との待ち合わせ場所まで私は浮かれて歩き出す。
恋っていいね。
待ち合わせ場所は大きなアウトレットが売りなショッピングモール。
私服の平野課長もかなりイケてます。
ステンカラーのコートとパンツをネイビーで揃え、ベージュのニットも似合ってる。
爽やかです。
「混んでるね。迷子になりそう」
さりげなくそう言い
私の手をギュッと握ってくれた。
幸せで崩れそう。
「行こうか」
平野課長とツーショット。
楽しみます私。