現実世界で捕まえて
メインは姪っ子さんの就職祝い。

背が高くて色白のお嬢様タイプらしい。
うーん。どんなのがいいかなぁ。
お目当てのブランドがあるので、そこのバッグを頼まれたらしい。
そこまで指定されると、選ぶこちらも助かります。

そこのブランドの人気シリーズを見せてもらい、オフホワイトのバッグを購入。

税込で8万近い。

いいなぁ。
就職祝いでこんな高いプレゼントもらえるなんて。うらやましい。
心から思っていたら
会計の時に課長は焦った顔をして

「あ、カード忘れた。ごめん、また来ます」

って、想定外の言葉を店員さんに言っていた。

不思議そうな顔で私が近寄ると

「ごめん。俺、留美ちゃんとデートって昨日からすごい浮かれてて、新しいカードを財布に入れるつもりで忘れてた。せっかく良い品物見つけたけど。ごめん」

それは大変だ。

「私、現金少し持ってきたので、迷惑じゃなかったら足りない分をお貸します」

「それは悪いからいい。カッコ悪いし」

「でもせっかくプレゼントの品を見つけたから、買いたいですよ」

「いや、いいよ。留美ちゃんと一緒に選べて嬉しかった」

ズキュン。

「立て替えます」

私は遠慮する課長を押しのけて

財布から現金を出して

支払いをした。


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