現実世界で捕まえて
身体中びしょ濡れになっての帰宅。
玄関でコートも脱げない。
水で貼りついてるし。笑っちゃう。
「丸洗いですか?乾燥してから帰って来て下さい」
なんつーか
全てお見通しなんだね。
それが本当の仕事か。
「身体が冷えましたね。お風呂の用意はできてます」
死神は軽く手を叩くと
私の服も身体も、乾燥機に入ったように乾いてしまった。
さすが。
お礼を言いたいけど
口が開かない。
私はそのままお風呂に直行し
髪も乾かさないでパジャマのまま居間のソファに座る。
「風邪ひきますよ」
死神はパソコンから手を離し、タオルを持って私の髪を拭いてくれた。
また天界の報告書作り?
昼は会社で仕事して、夜は本来のこっちの仕事して
大変だねぇ。
「お風呂で温まりましたか?」
返事ができない。
口をどこかに落してきたかな私。
「今の風邪は怖いですから」
死神が風邪を怖がってるなんて変だよ。
「あと2つ。願い事を有効に自分の為に使って下さい」
長い指が私の髪の中に入って乾きをチェックする。
何でもチェックする人。
職業病。