現実世界で捕まえて

「裸にしてアフリカ辺りに飛ばしましょうか?」

「いいです。顔を洗ってきます」

発想が凄いな。
妙な所に感心してると、テーブルの上で携帯が鳴る。

平野課長からのLINE。

【風邪大丈夫?熱下がった?見舞いに行こうか?】

画面を見て深いため息をしていると
いつの間にか横から覗かれていた。
素早いよ死神さん。

「この後におよんで『やっぱり昨日の出来事は幻だったー』とか言いませんよね」

だから目が怖いんだって。
ピンクのエプロンが泣いてるよ。

「言いません。大丈夫です。自分で考えるので死神さんは関わらないで下さい」
珍しく強く言った自分の言葉に驚き
洗面所へ逃げ込む。

幻だったらいいんだけど

間違いなく

昨夜の出来事は現実。

相手は常務のお嬢さん。
お見合い相手のお嬢さん。
結婚も決まっていて
部屋に泊まる仲で
彼女には何でも買ってあげてる話。

彼女から見ると
きっと平野課長はおしゃれで気前のいい男性。

あなたの持ってるバッグは私が買った物ですよ。

言えばよかったかな。言えないなぁ。


4つ目のお願いは

何にしようか。
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