現実世界で捕まえて
私のラストのお願いは

平野課長を仕事以外で完璧無視。

あれぼど好きだったのに
恋の終わりって不思議。
テレビの電源を切ったようにプツンと気持ちが消えてゆく

人に流されるタイプであきらめが早く
自他共に認める
平和主義の私だけれど

今回の事だけは
ちょっと許せない。

この
ちょっとだけ……ってゆーのは、私の財布が無制限だったせいだろう。

これを実費で、貯金を崩して貢がされてたら……そう思うとゾッとする。

そして
私みたいな被害者をまた出さないように

月に代わっておしおきよ! with 死神。

おしおき内容をずーっと悩んで悩んで

リアルで桜が咲いた頃

会社の昼休み時間
外へ出て
暖かな春の陽ざしを浴びながら
私は死神と一緒に近くの桜並木を歩いていた。

「本当にそれでいいんですか?」
最後まで不満気な声が聞こえてくる。

いいんだよ。これで。

私はいつものように手を重ねて目を閉じ
桜を感じながら
空に向かってお願いをすると

遠くの方ではっきりと
澄んだ鐘の音が聞こえてきた。

いいものだね。
桜の光景と天界からの鐘の音。

「あーぁ」

本気で不満そうですね。
でも私のお願いだもの。願った私の勝ち。

「あそこで食べましょうか?」

死神は桜並木の裏手にある公園を指さし、私達はベンチに座ってランチする。

「ベンチでランチって語呂がいいですね」
明るく言うと

「はぁあ?」って嫌な顔された。

あなたに言ったのが間違いでした。





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