現実世界で捕まえて

でも、私の人生これで終わるのね
あのまま白目をむいて死んだと思えば
このオプション人生はありがたいお話なんだろう。

彼氏不在で天国へ行くのは悲しい。

助けた命を私の代わりにしても
後から後悔するのは自分だろう

死なんて意識した事なかった。
でも目の前には死神がいる。これは私の運命だ。
身体が熱くなり声が震える。

「これが運命なんですね。私は死んでしまうんですね。ちっぽけな人生で、彼氏不在のまま死んでしまうのは悲しいけれど。私が助けたあの子が立派に生きて幸せに育って……」

「それはどーでもいいんですけど、次に進みますね」
男は冷静に言い、アッサリと私の熱い語りを遮断。

悲しい。

「基本的条件があります。5つの願いに該当できない条件としては、死者を生き返らせる事はできない」

「死者?死んだ人?」

「はい。例として『死んだおばーちゃんに会いたい』これはダメです」

なるほど。死神でも無理なんだ。

「次に時間を戻す事はできない。例えば『中学生からやり直したい』などはダメです」

残念。それを希望してました。

「類似している複数の願いは叶えられるけど、関係ないのが入ると叶えられない」

「なんですかそれ?」

「『苺と桃と大根とステーキが食べたい』は大丈夫だけど『苺と桃と大根とステーキを食べてから金持ちになりたい』はダメです」

「よくわかりません」

「僕は日本語を話しているつもりですが、英語で話しましょうか?」
頬をヒクヒクさせて男は言った。

こいつやっぱり嫌なヤツだ。
死神仲間から嫌われてる気がする。
友達いない気がする。



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