陽だまりのなかの僕ら
そう迫られて、とくんとなる胸を押さえた。一度ぎゅっと下唇を噛んで、再び力を緩める。
「そ、壮・・・」
「はい、よくできました。」
ぽん、と頭を撫でられる。
頬がほんの少しだけ熱くなるのを感じた。
壮くんはたまに、大胆で、強引になる。
他の女子にも、こんな感じなのかな・・・
自分でも、壮くんに撫でられたところをさわってみる。
「よかった。まだ壮くんって呼んでる人が、詩麻だけだったんだよね。」
玄関に向かいながら、無邪気に言う、壮。
「・・・ああ、そうだったんだ。」
やっぱり、・・・そうだよね。
この時点で残念がってる私はおかしい。
「・・・ホントはそれだけじゃないけどね」
「・・・え?」
「あ、ただ、お腹空いたなあって、さ!」
「・・・そっか・・・」
何か言いたそうだったけど、何だったんだろ?
みんな帰って静かになった廊下に、私たちだけの足音が響いた。