陽だまりのなかの僕ら
第6章
遠くに見えたもの
家に帰ったのは、たぶん、11時くらい。
いつもより、家に入りたくないとか、そういう雰囲気を感じなかった。
おうちゃんは途中まで送ってくれるって言ったけど、私はひとりで帰りたい気分で。
道もわからないまま、ふらふらと帰ってきた。
でも、思ったより、早く帰ってこられた気がするから。
そこは、どうでもいいんだ。
そんなくだらないことを思いながら、私はおもむろに肌を触る。
やがて、ゆっくりと手を離した。
すっかり疲れきって、微かに震えている脚を押さえながら、私は二階へ向かった。
ドアノブにグッと力を込めて、一息。
「し、んじゃう・・・」
そして、弱音を、一言。
ベッドに倒れた瞬間、なにかの呪縛から解かれたかのように、私は眠りにおちた。