陽だまりのなかの僕ら
ころころと、何かが転がる音がした。
重く閉じられたまぶたを、思い切って開けてみる。
開けてみて、知る。
ここは、私が、居たかった場所。
手を伸ばせばすべてが掴めそうなのに、どれも掴めない。
ぜんぶ、掬い上げても、指と指の隙間から、零れていく。
懐かしい思い出、感覚、気持ち。
君の唇から零れる言葉。
キラキラと宝石みたいに・・・。
「おうちゃん!!!」
遠くに、おうちゃんが見えた。
高く伸びた芝生が、おうちゃんをどんどん包んでいく。
だめ。だめだよ。
おうちゃんは、行かせたくない。
そう思って、私は手を伸ばす。
でも、掴めない。
ふいに、おうちゃんが振り返った。
「お・・・う、ちゃん?」