陽だまりのなかの僕ら
しばらくして、玄関に着くと・・・
「あっ、おうちゃん!」
「詩麻。待ってたよ。」
おうちゃんだ。待っててくれたんだ。
おうちゃんは柔らかい笑みで、私を迎え入れてくれた。
「・・・ケホッ・・・遅かったね。」
そう言われて、すこし顔が赤くなる。
まるで全て見透かされているようで、恥ずかしくなる。
「あ、ね、寝ちゃってて・・・」
「・・・先輩、どーも。」
壮がひょいっと間に入る。
「ああ・・・篠宮・・・壮・・・くんとか言ったっけ?なんでここにいるの?」
おうちゃんの目の奥が、冷たく光る。
「俺、詩麻とさっきまで教室でいたんですよ。」
ニヤッとしながら、壮が言う。
「ふーん」
素っ気なくおうちゃんが返事をする。
「そうなの?詩麻。」
突然、二人の視線が私に向けられた。
「えっ、ちっ、違うよ・・・だから・・・。話し合いしてて、それで・・・寝ちゃって・・・そ、壮が・・・」
壮、と聞くと、おうちゃんの眉がピクッとあがる。
「うん。それで?」
「制服を、貸してくれて・・・」
壮は、ただ笑みを滲ませる。
「・・・ケホッ・・・はぁ。」
ため息をついて、おうちゃんが私の手をクイッと引っ張る。
「あっ・・・え、・・・」
壮を振り返ると、手を振っていったので、振り返そうとしたが、おうちゃんに肩をつかまれて、阻止された。
「俺の家に、藍実も、隆貴もいる。だから、そのまま俺ん家だけど、いい?」
おうちゃんが私を見て柔らかく言う。
だんだん、いつものおうちゃんに戻っていった。
「・・・うん。」
心臓がバクバクして、顔が真っ赤なのが、わかる。
・・・なんで、だろう。