陽だまりのなかの僕ら
「・・・勉強しようか。」
柔らかく笑いながら、おうちゃんが言う。
「あ・・・うんっ。」
少し声が上ずった。
ぱたぱたとリビングのテーブルにつく。
おうちゃんが、私のスクールバッグを引き寄せた。
「・・・コホッ・・・俺がこういうのいじって大丈夫?」
おうちゃんがスクールバッグを指し、私の顔を覗いて言った。
私はスカートの裾を握って返す。
「う、うん。大丈夫っ・・・」
もう、何年もいる仲だもん。
大丈夫・・・
なはずなのに。
すごく恥ずかしい。
「・・・コホッ、はい。」
おうちゃんが、私のノートをぽん、とテーブルに置く。
私は下を向いたまま、すこし椅子から浮いた足をぷらぷらと弄んでいた。
「あ、りがとう。」
「・・・コホッ・・・」
ときどき聞こえる、おうちゃんの咳と、ふぅ・・・とため息をつく声。
それでさえも、私を安心させる。
私っておうちゃんが好きなんだなぁ。
お兄ちゃんみたいな存在だもん。
もう少し、甘えさせてもらおう。
せめて、おうちゃんが卒業する頃くらいまでは。