陽だまりのなかの僕ら
わたしたちは食事を済ませて、いつものように4人で勉強していた。
ただしくは、3人、で。
「あーんもう!どうしてこれがこんなのになるのよ!」
問題集をバンバン叩きながら、怒鳴り散らす藍実。
「ほら、藍実。問題集は何も悪くないだろ?」
隆貴さんがいつものように藍実をなだめるように頭をなでる。
「・・・じ、じゃあ教えてよ!」
問題集を引き寄せて、ばっと隆貴さんの目の前に。危うくオレンジジュースがこぼれそうになった。
「はあ・・・仕方ないな。どこがわからないの?」
頭を抱えながら、テーブルに肘をつく隆貴さんは、まるで藍実の本当のおにいちゃんのようだった。
おうちゃんをちらっと盗み見る。
わたしたちも、そんなふうに見えてるのなら・・・
なんだかよくわからないけど、
嬉しくない。
そのまま、勉強を進めた。
勉強と、根性だけが、とりえのわたし。
ここで成績を落としたら、きっとみんなから見たわたしの株が落ちる。
それが、不安で仕方ない。
心臓をむさぼられるような、何とも言えない感覚に陥る。
それを思い出して、思わず制服を握る。
「・・・詩麻・・・?」
おうちゃんが、勉強する手を止めて、私を覗き込む。
ときどき、おうちゃんの優しさが苦しい。
「・・・おうちゃ・・・」
『ピンポーン』
丁度、玄関のチャイムが鳴る。
「・・・誰だろ・・・?」
私が言うと、おうちゃんが不満そうに私を睨む。そして、ふてくされたようにふんっと肘をつく。
「・・・おうちゃん?」
喋りたかったのかな・・・?
「・・・ちょっと行ってくるね。」
おうちゃんは席を立ち、ドアの向こうへ消え去って行った。