陽だまりのなかの僕ら

「ああっ、詩麻ちゃん!いたのねー!」


私を見つけた途端に、私に抱きつく未桜さん。私をとても可愛がってくれる。

ふわりと、いい匂いがする。

まだ19歳だというのに、もう大人の色気を持ち合わせている。

懐かしくなって、でも切なくなる。


私は、おうちゃんと未桜さんが、キスしているところを見てしまったんだ。

胸が張り裂けそうだった。

その理由は、わからないけど。

「・・・とにかく座りなよ。」

おうちゃんが、ぽんぽん、と自分の席の隣をたたく。

「えへへ、ありがとう。」

未桜さんは屈み込みながら、耳に髪の毛をかける。

「・・・久しぶりだね、桜くん。」

「ん・・・そうだっけ?」


楽しそうに、会話するふたり。

元カノだったとしても、彼女だったのは事実。

それを思うと、こんなにも胸が苦しい。

すかさずシャーペンを持って、下を向いて勉強。


・・・頭に入らないけど、とにかく書く。


「・・・・・・。」

「そうだ、桜くんに、おみやげ。ハワイ行ってきたの。」

ああ、だから少し肌が焼けているのか。

・・・っと言っても白いのだが。


「お父さんと、お母さんと行ったのよ。」

「偉いな、親孝行。」

「そうでしょー?」

未桜さんは、そう自慢げに言うと、おうちゃんの腕に自分の腕を絡める。

無意識なのか、それとも・・・。
それを、全く気に止めずに勉強するおうちゃん。


―――・・・ふりほどかないの?




急に怒りがこみ上げてきた。

どうしてこんな感情になるのか。


―――・・・わ か ら な い




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