陽だまりのなかの僕ら
結局少しして、未桜さんは帰って行ってしまった。
だけど、まだもやもやは消えなかった。
「どうする?みんな、もう8時近いけど。帰る?泊まる?」
時計を指さしながら、おうちゃんがみんなに聞いた。
私は、おうちゃんといたいけど、いたくない。なんだか今はもやもやするし、イライラもしてて。
さっきからずっとクッションをぱんぱん叩いているところだった。
私はソファからずるずる降りて、おうちゃんの隣へ。
危うくスカートがめくれそうになり、さっとおさえておうちゃんを見た。
「あたしは別にどっちでもいい。」
藍実のどっちでもいい。は、「ここにいたい」と同じ意味を持ってる。
私は膝を抱えて膝に顔を埋めていた。
「俺は、残りたいかなぁ。家いても誰もいないからつまんないしね」
みんな隆貴さんの意見に同意した。
「じゃあ、残るなら、藍実と詩麻は二階の手前の部屋に荷物移してさ。俺達は俺の部屋で寝るから。」
おうちゃんは、私たちの荷物を持って席を立つ。
隆貴さんも続けて立ち上がり、おうちゃんを手伝った。
よく遊ぶことはあるけど、泊まるのは久しぶり。
なんだか少し違和感があるけど・・・
私は最後に部屋を出た。
足をとめて、部屋を振り返る。
「・・・ここで。」
・・・ここで、おうちゃんと未桜さんは、キスとか、・・・したんだろうな。
別れた今でも仲がいいんだ。
当然だし、彼女だったんだからそうだよね。
・・・でも、こう胸が苦しくなるのは、なんでだろう。
必死で自分に言い聞かせても、心臓のもやっとしたのは、とれない。
・・・きっと、私の心が汚いからだよね。
誰かに頼られたくて
ただ誰かに必要としてほしくて
あがいて
必死で勉強して
いやでも笑って
心の中で泣いて
そんなことを繰り返したから
きっと私の心は汚くなってしまった。
息苦しい。息もできないような窮屈な世界を唯一忘れられる場所がここなのに。
なのに、私はおうちゃんの過去を思って泣いているなんて。
私は最低だ。
私はすぐに目をごしごしとこすった。
きらい。
こんな自分は、きらい。