陽だまりのなかの僕ら
振り返った拍子に、誰かにぶつかった。
「・・・あ、隆貴さ・・・」
「やだな。隆貴でいいよ。もう何年一緒にいると思ってんの?」
隆貴さんだった。
そう。前までは、隆貴〜って呼んでた。
でも、中学にあがって、隆貴さんにも彼女が出来たりして。
なんとなく気まずくて、隆貴さんって呼ぶようになったんだ。
・・・もちろん、今は隆貴さんも彼女はいない。
・・・告白は毎日のようにされてるみたいだけど。
今は、作らないみたいだけど。
私はパジャマの裾を握った。
「・・・詩麻ちゃんって、隆貴さんも言ってるじゃんか。」
「・・・俺はたまに、詩麻って呼ぶようにしてるよ。」
「・・・そう、だっけ・・・?」
隆貴さんが、窓の縁に腰掛けた。
柔らかい髪の毛が、夏の風に揺れる。
「うん。だからさ、隆貴さん、じゃなくて。隆貴って呼んで。」
「・・・わかった。」
「よかった。」
そして、しばらくの沈黙のあと、隆貴、が口を開いた。