陽だまりのなかの僕ら
「・・・詩麻も、桜輔も、藍実も、それに俺も。昔と随分変わったよね。」
夏の月が、隆貴を明るく照らす。
虫の鳴き声が、ピタリと止まった。
その代わり、風に隆貴の影が揺れる。
そして、沈黙。
やがて、私が静かに口を開いた。
「・・・うん。変わっちゃった。私は、昔のままが・・・よかった。そのままで、あって欲しかった。」
私も、隆貴の隣に腰掛ける。
「・・・変わっていないようで、変わっているんだ、俺ら。正直俺も、寂しい気持ちが大きいかも。」
私が隆貴を見ると、隆貴は大きく綺麗な瞳を揺らした。
「・・・恋なんかしないで、ずっと、昔のままの4人で・・・」
「・・・・・・。」
「・・・あは、少し重い話をしちゃったね。ごめん、ただ、詩麻といると、自分の気持ちを伝えたくなるっていうか、正直になれるんだ。」
そう言って、ふにゃりと笑う隆貴。
・・・いつから、そんなに切ない表情で笑うようになったのか。
きっと、この数年で憶えたもの。
どうしようもなく、胸が張り裂けそうな気持ちになる。
―――・・・そのまま、隆貴のほほに手を伸ばす。
「―――・・・!」