陽だまりのなかの僕ら
そう感心している間に、私たちは無事学校についた。
「はぁー、なんだか、休日明けの学校って学校は落ち着かないなぁ。」
「そうだね、それはちょっとわかるかも」
そんなたわいない会話をしながら、私たちは階段を上がって行った。
「あっ、詩麻おはよー」
藍実が真っ先に駆け寄ってきた。
もちろん、いつものような、私に見せるテンションとは違う、クールな女子のキャラだが。
「あんたさ、男子からラブレター貰うとか何を使って男をメロメロにしてんの?」
藍実が私に耳打ちした。
ラブレターか、何回目だろう。
「・・・別に何も使ってないよ。で、ラブレターはどこにあるの?」
「ああ、ここにあるよ。」
そう言って、藍実はポケットから便箋を出す。
「・・・・・・。」
一応読んであげるのが、私の決まり。
『詩麻へ
ずっと前から、詩麻のことが好きでした。
優しく笑ってくれる詩麻に惚れました。
だから、もしよければ、付き合ってくださ
い。返事は、明日の放課後の教室で聞かせ
て下さい。
蓮より 』
一生懸命考えて書いたんだなぁ、とわかる字体。
「えっ、蓮からの告白?いいじゃん、顔悪くないし。」
藍実が途端におしゃべりをしだす。
「い、いや、顔とかじゃないし・・・」
「そうだよ、蓮なんて詩麻に似合わない。だったら俺にしてよ。」
今まで黙っていた壮が、少し怒りながら、声を低くして言った。
「どうしたの?壮はもっと他にいい女の子選びたい放題でしょ?ふざけちゃダメだよ?!」
バシッと藍実に背中を叩かれる壮。
そうだよ、壮はもっといい人いるでしょ。
私なんて壮に相応しくない。
それに、私はきっと、多分、おうちゃんが好きだから。
「・・・本気なのに・・・」
壮は小さく呟くと、そのまま教室を出ていってしまった。