陽だまりのなかの僕ら
「・・・うん。ほんとだよ。じゃあ、行くね。こんなに女の子いっぱいいるんだから、私は必要ないよね・・・。」
なに、言ってるんだろ。
私は振り返り、そのまま走った。
「詩麻!」
おうちゃんに後ろから呼ばれたけど、振り返らない。振り返っちゃダメだ。
きっと、悲しくなってしまう。
なんにもできない、無力な私。
どうしようもない、この気持ちは。
ひとり、走り続けていくんだ。
汗が頬を伝う。
ブラウスに汗がぺたぺたとくっつく。
決して快いとはいえない生ぬるい風が、それを蒸発させていく。
苦しい・・・
苦しい・・・
こんなにも、苦しい。
乱れる呼吸を整えるように、大きく深呼吸をしつつ、走り続けた。
苦しいのは、きっと、走ってるからじゃない。
心臓のあたりを、ぎゅっと掴む。
恋してるからなんだ。