陽だまりのなかの僕ら
やがて空が赤に染まり始めたことに気付き、カタンと窓を閉めた。
そして振り返り、藍実をゆすって起こす。
「藍実~。起きて、もう帰らなきゃ。」
しばらく揺すっていると、藍実が「う~ん」と唸りながら顔を上げた。
目をこすり、あたりをキョロキョロ。
「あれっ、詩麻!あんたさっきどこ行っちゃってたのよ!!!」
私に気づいた藍実は、私の肩を揺すりながら目を見開いて言った。
私の珍しいあの態度を見て、相当心配していたことが見て取れる。
「あ、うんと、・・・おうちゃんに会ってた・・・よ。」
藍実の表情が一変して、ニヤニヤし始める。
「へぇ~?そっかぁ~?ふぅ~ん?」
「別に、ただ話しに行っただけだよ。」
藍実の態度にイライラして、私はふいっとそっぽを向いた。
あんまり、そういう煽りは好きじゃない。
そっぽを向く私に、藍実は「呆れた・・・」とでもいうような表情で私を見た。
「鈍感なうえに素直じゃないとは・・・」
「私がいつ鈍感だって言った?!!」
「はーいはい、もういいから帰りましょ。」
藍実はやれやれといった様子で自分の荷物を持ち、教室を出ていった。
私も慌てて荷物を手に抱え、藍実を追いかけた。