陽だまりのなかの僕ら


「あーっ。よく寝た・・・」

藍実がひとつ、大きな欠伸をする。

「・・・じゃなくて!もう!びっくりしたじゃない!!急にあんな顔して出て行っちゃうから・・・!」

「あんな・・・?」

「うん。泣きそうな顔してたわよ。何?あんた、自分で気付いてなかったの?」

今まで前を歩いていた藍実が、急に振り返るもんだから、ビクッと体が反応してしまった。

「そ、そうだよ。」

「ははーん、無意識、ねえ・・・。そんなに桜輔のことが好きなのね。」



『桜輔のことが好きなのね』


その言葉は、私の胸にさくっと刺さった。
もう、自分でも気付いてしまったし、分かってしまったことだから。

藍実の顔を見るのが苦しくなって、窓に視線を移す。

「あ、夕日・・・」

陽の眩しさに、目を細める。
空が綺麗なオレンジに染まっていた。

「ああっ、ほんとだ!綺麗・・・!」

藍実が窓を開けて、身を乗り出す。
さっきまでの風と違う、冷酷な冷たさの風が吹きつけていた。


「・・・綺麗、だね・・・」



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