陽だまりのなかの僕ら

「・・・え?」

びっくりして、思わず顔を上げる。


「聞こえなかったの?好き。」

どこまでも真剣な目で、壮が私に語りかける。荘の手にぎゅっと、力が入る。

「・・・ずっと前から、好きだったんだよ。・・・詩麻は俺のこと弟みたいだとか思ってるんだろうけど。俺は、詩麻のこと、ひとりの女の子として、好きなの。」

声が微妙に震えている。
なんとか顔を見ようとするけど、壮は嫌みたいで、また手に力を入れられた。

そんなにも、恥ずかしいことなのか。

「・・・だから詩麻も・・・俺を男として見てよ・・・」

力を込めていた手が、やがて震えながら離される。

どうしようもなく切なくなった。

私は、壮の気持ちに気づいてあげられてなかったの・・・?


「・・・ごめん・・・こんなに、好きになった子初めてなんだ・・・ごめん・・・。」

手の甲で顔を隠す壮。

だめ。

壮は、何も悪くないから、だめだよ。

「あやまんないで。」

唐突に、私の口から勝手に出た言葉。

「壮は、何も悪くないから。悪くないのに、あやまる意味がわかんないよ。」

そう言う私を見て、ぽかんとその場に立ち尽くす壮。

そんな壮をしばらく見つめているうちに、私は気付いた。

「あ・・・」

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