陽だまりのなかの僕ら

差し伸ばされた、手。

まるで、王子様に

「一緒に踊って頂けませんか。」

って言われてるみたいな気分。


そっと、まるでガラス細工に触るみたいに、おうちゃんの手に私の手を軽く乗せた。

それと同時に、おうちゃんがふわりと笑う。


「じゃあおばさん、月が眠る前には、帰ってきます。」

玄関のドアを開け、振り返りながら、おうちゃんが言った。

「そう、楽しんできてね。」
お母さんは少しだけ、嬉しそうな顔をして、手を振って私たちを送り出した。

私もおうちゃんに引かれて、夏の夜の世界へと踏み出た。
さぁ、と、生暖かくて夏特有の風が吹く。

思わず目を瞑ると、おうちゃんが「大丈夫、目、開けて。」と言ったから、私は思い切って目を開いた。


「う、わぁ・・・」

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