陽だまりのなかの僕ら
街の灯りが、きらきらしていた。
・・・そっか、私の家って、丘にあったんだっけ。
「・・・ふ、初めて見た、みたいな顔してる。」
ふいにおうちゃんが隣で笑って、心臓がぎゅうっと締めつけられる気分になった。
さらさらとおうちゃんの前髪が揺れて、思わず見惚れてしまった。
おうちゃんが、振り向きざまにぽつり。
「かわいいよ。」
「え?」
唐突に、聞き慣れもしない言葉を投げかけられて。
「・・・詩麻は、かわいい。」
そう言って、おうちゃんはまた柔らかく笑う。
きゅうっと、おうちゃんが私の手を握るのと一緒に、私の心臓も、きゅうっとなった。
「あはは、冗談やめてよおうちゃん。」
私が軽く流すと、おうちゃんはそれから少しの間、黙り込んでしまった。
けれどやがて、喋り出す。
「・・・冗談、言うの好きじゃないよ。」
柔らかい笑顔のまま、だけどほんのちょっとだけ表情を変えて、おうちゃんはそっと言った。
私には、それが答えのような気がした。
きゅ、と握られた手に力を込める。
無視されたか、と思ったけど、やんわりと優しく握り返してくれたことに気付いた。
それだけで、胸がじんわりと暖かくなる。
魔法、みたいだな。