陽だまりのなかの僕ら
40分くらいして、厳密に言えば、35分くらいたった頃、少し開けた道に出た。
と言っても、やっと3人並んで通れるくらいのとこだけど。
「おうちゃん」と言えば、おうちゃんは振り返りながら、私に微笑んだ。
でも私はそれに余計に腹がたって、握られた手を離したくなったけど、なんだか離しちゃいけない気がした。
それを見かねたおうちゃんが、やんわり私を握る手に力を込める。
「あとほんのちょっとだよ。」
ああ、この人には、一生怒れない気がする・・・。
猫みたいだと思った。
階段のあいだをすり抜けて、塀をつたって。
かすかに息の荒いおうちゃんが、少しだけ心配で、ずっとおうちゃんに手を引かれたままでいた。
「は・・・は・・・」
コホ、と小さく咳を零す。
「無理しないでね、おうちゃん。」
私が言うと、おうちゃんはきゅ、と手を強く握って、返事をした。
わかったよ・・・てことかな・・・?
やがて小さな庭園のようなところに出た。
・・・あれ、ここどこかで・・・
「もう着くよ。ここの庭を抜けた先。」
おうちゃんが振り返り、花や植物でできたトンネルのようなものを指さす。
とても、綺麗だった。
胸がぎゅっと締め付けられる気分で。
ほんの少しだけ、目を細めた。