陽だまりのなかの僕ら
きっと、おうちゃんから見ればこの行動に特に深い意味は無いんだろう。
ただ、私を落ち着かせるためだけのものに過ぎないんだろう。
だけど。
私にとっては違う。
やがておうちゃんの腕が離れ、また私の両手を握った。
「行こう、あまり遅くならないうちにね。」
夜風におうちゃんの瞳の奥が揺れた。
「・・・そうだね。」
きゅう、と目を瞑る。
少しだけ風が吹いて、すっと花のトンネルを通った。
なにも、なかった。
当たり前な気もするけど。