陽だまりのなかの僕ら
小さい階段を上る。
少し息が乱れた頃に、柔らかい夜風が肌を撫でていった。
そして、その場所が、姿を現した。
「あ、ここ・・・」
どこまでも続く、芝生、草原。
いつかどこかで見た、この景色・・・。
「思い出した?」
少しだけ、と私はおうちゃんを横目で見ながらつぶやいた。
そっか、っておうちゃんが笑った。
「俺たちがー・・・そうだな、小4くらいのとき。かくれんぼしてたでしょ。」
おうちゃんの話を聞いて、あっ、て思い出す。
そうだ。小学四年生のとき・・・
この街全体を使って、かくれんぼ、というか隠れ鬼ごっこみたいなのをしたことがあったんだ。
それで、バラバラに逃げたはずなのに、何故かみんなここにたどり着いて。
不思議だねって笑った。
今考えれば、この街って結構広いのに、なんでみんなここに着いたのか、本当に不思議。
そうか、たまに見たことがない景色のところを通ったのは、おうちゃんがあそこに辿り着くまでに通った道を行ってたからなんだ。
だから、きっと私は違う道からここにたどり着いたんだろう。
「確か、隆貴が鬼だったんだよね。あいつ足はやいから・・・」
そう言いながら、おうちゃんはどんどん草原の奥に進む。
しゃく、しゃく、と芝生が小さく音を立てた。
「たしかこの辺りに・・・あった。」
おうちゃんがぴた、と足を止める。
なにか、覗いてる?
私も急いでおうちゃん駆け寄ると、そこには芝生の段のようなものがあって、ジャンプすると一段降りられるくらいの高さだった。
・・・私の身長よりちょっと高いくらい。
おうちゃんはそれを華麗にストン、と降りて、私を見上げた。
「降りられる?結構高いけど・・・」
「・・・う、うん。」
思い切って、降りてみる。
でもやっぱりダメで、おうちゃんが私をお姫様抱っこでキャッチした。
ふわりとおうちゃんの匂いがする。
「ごめんね、ありがとう・・・」
「ううん、いいよ。それより、早くおいで。」
おうちゃんは私を手招きして、私もそれに従ってついて行った。