陽だまりのなかの僕ら


「・・・そっか」

さっき私が言ったみたいにおうちゃんが私に向かって言う。

「・・・あのときの俺らが、まるでここに閉じこめられてたみたいに、そのまま。・・・誰にも知られず、誰にもかえりみられずに・・・。」

ぽつ、ぽつ、と独り言で歌を唄ってるみたいに。

少なくとも、私にはそう聴こえた。


「・・・あのときの俺らは、ここで終わったんだ。変わっちゃった、色んな意味でね。」

おうちゃんの肌が、月夜に白く輝いた。
すごく不思議なくらいに、綺麗に、妖艶に。

月夜に現れる美しい妖怪を見たみたいな、そんな錯覚に陥るくらいに。

すぐに私はおうちゃんの手を握って、おうちゃんの正面に立った。
そして、おうちゃんみたく、笑ってみる。


「でも、全部変わったわけじゃないかもしれないよ。」

おうちゃんは少し目を細めて、微笑している。

「たとえば、ほら・・・」

私は微かに首をかしげた。


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