陽だまりのなかの僕ら
「・・・暗いの、嫌い?」
「・・・う、うん。当たり前だよ。暗いの怖くない人なんていない。」
私はほぼ、おうちゃんに抱きつくみたいにして、くっついていた。
普通の男の子なら嫌がるだろうけど、おうちゃんは笑って私と繋いだ手をきゅ、と握り返してくれる。
「小さい頃は、ひとりでどんどん変なとこ行っちゃってたのにね。」
「・・・そう、だっけ?」
「うん、泥だらけで俺に抱きついてきたりさー」
ぷくく、とおうちゃんが笑った。
「あ、もうすぐ着くよ。」
「それ、何回聞いたかわからないよ。」
私が言うと、おうちゃんはまた笑った。
そうこうしているうちに、開けたところに出た。
そこは、丘になっていて、目の前には少し大きな湖があり、周りは森で囲まれていた。
「ここ・・・」
「俺が見つけた。隆貴と、大喧嘩した日。あれがたぶん、最初で最後の、大喧嘩。」
すっと指を指す。
丘の芝生を踏んで、おうちゃんが丘のふちといえばいいのか、もうすぐ下は湖というところに腰掛け、あしをぷらぷらさせた。
やがて、私を振り返る。
「おいで。」