ぼっちでも


◇◇◇



今晩もまたせっせと彼の為に食事を作る。

作る事は特に苦じゃあないから別にいいのだが、やっぱり料理を作れば食べて欲しい思うし、その欲望は日に日にむくむくと膨れ上がる。

けど、余り期待してはいけない事を知っている私は余り期待しないようにはしていた。人なんてやっぱり自分の期待通りには動いてくれないから。

だったら一番は何事にも期待をしなければいいのだが、そう言う訳にもいかない。やっぱり何かしら期待を描いてしまう。

例え期待を裏切られるのが分かっていたとしても、悲しいがそれが人としての性なんだと思う。

で、今日も出来上がった料理をテーブルに並べ、私はいつものように料理を目の前に席に座る。が、また箸を付けずただ料理達を見つめた。

私にはもう一つささやかな夢があった。それは家族でテーブルを囲むこと。

実家に居た時、もう物心ついた時には食事は一人だった。
一人の食事ほど味気ないものはなかった。たからせめて結婚したらそれだけは変わると信じて止まなかった。が現実は……。

やっぱり私は一人っきりだった。

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