ぼっちでも
なんとも微妙な空気を醸し出す私に、父も訝しげな顔をする。やっぱり、何となく勘づいているのかな?私が彼と上手くいっていない事。
「黙ってないで、何か言ったらどうなんだ」
威厳のある父の低い声にぴくりと肩を震わす。すると母親が慌てて私達の場所へ来た。
「あなた、無闇に桃を責めるのは止めてください」
カチャカチャとソーサーの上でカップを鳴らしながら母親はテーブルにそれを置く。母親がこんな風に私を庇うなんて思わなかった。
けど何も語れない。母親が時間稼ぎしてくれたって。だって私達には夫婦なんて本当に名前だけ。実際会話もままならない関係だったのだから。
「桃、おまえ……」
つーっと頬に何かがつたつた様な気がした。だけどそれが何かなんて今は考えたくなかった。だって何もかもぐちゃぐちゃだ。
だけど父の声がさっきよりも不安要素が強くなったのは、今まではけして泣かなかった私が両親の前で無闇に涙なんか流してしまったからなんだ。