ぼっちでも
その家政婦さんに不満なんてなかった。
いつもいつも私の為に色々世話を焼いてくれるから、そんな気持ちこれっぽっちもなかった。
だけど、友達のお母さんに甘える姿を見てしまったら、私もお母さんお母さんと母親にすがりたくなった。
が生憎お母さん不在。
それは仕方のない事。
仕事が忙しいのだ。私を養う為、お母さんもお父さんも一生懸命働いているのだ。
そう小さい時から言いくるめられ育てられた私はやっぱり両親を小さいながらに困らせてはいけないと思いながら育ち、だから友達の家で見たあの光景を思うとなぜだか悲しくなった。
理由なんてその頃はまだ分からなかった。
ただ、なぜ?どうして??お母さんもお父さんもいつも一緒に居てくれないの?とは思ったが、それを口に出し言ってはいけない事ぐらい分かっていたから、だから静かに私は涙を流した。
そんな私の気持ちを察したのか、家政婦さんがやさしく私を包み込んでくれた。