地獄の果てでキミを愛す
「なお……や……」


トロンとした目で俺を見ながらしがみ付く桜。


そんな目をしてたら直ぐに襲われちまう。
本当に男の気持ちを分かっていない……。


「俺が欲しいか?」

「ちがっ……」

「素直になったら優しくしてやるよ」


後頭部を引き寄せながら甘く囁けば
桜は真っ赤な顔で俺を見つめて首を横に振った。


「……優しくしなくていい……。
だから……家に帰して……っ!?」

「……そんなに死にたいのか……?」


目の前には壁に寄りかかりながら目を瞑る桜がいる。
その左頬は僅かに赤くなっていて……。
叩かれた事は歴然だった。

もちろん俺が叩いたのだが……。


だってそうだろう?

しつこいんだよ……。

帰す訳ねぇだろ?
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