地獄の果てでキミを愛す
「直哉……どうしてこんな事……」




震える声に笑みが止まらない。
愛してる奴に名前を呼ばれただけで胸の奥がジワリと熱くなる。


そんな俺を見れば桜は口を閉ざし俯いてしまう。


許さねぇよ。
俺から目を逸らす事なんて。



「駄目だろ……俺から目を逸らしちゃ」



無理やり桜の顎を掴み視線を交じり合わさせる。


涙で染まった桜の瞳は本当に綺麗で
この目が俺以外の人間やモノを映してきたのだと思うだけで胸が引き裂かれる。



「あっ……」




俺の怒りを感じ取ったのか桜は小さく悲鳴を漏らした。
瞳から零れ落ちた涙は俺の手の甲をつたっていく。
< 3 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop