地獄の果てでキミを愛す
「そのままの意味だ。
俺はお前を幼馴染としてなんか見た事ねぇ。
ずっと……桜が好きだった。……1人の女として」

「あっ……」



再び流れた涙はさっきと違う意味のモノだった。

嬉しくて、嬉しくて。

他の事がどうでもよくなる位に……。
直哉の声しか頭に入ってこない。



「何で泣いてるんだよっ……」


直哉の手が私の頬へと触れる。

さっきまで嫌がっていた自分が嘘みたいだ。

もっと触れて欲しい。


この手は私の首を絞めたというのに……。
それさえもどうだって良かった。


貴方に殺されたい訳ではない。
直哉と一緒に居られなくなるのは嫌だから。


私がいなくなれば他の女が直哉を好き勝手にするかもしれない。
そんなの耐えられる訳がない……。

でも。
彼が望むのなら私は死んでもいいと思う。

そんな矛盾な想いを抱えながら
小さく唇を動かした。
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