地獄の果てでキミを愛す
「見て欲しかった?」

「……うん」

「なんで?」



分かっているくせに、ワザと聞き返す。

桜の口から言って欲しいから。


そんな俺の魂胆を分かっているからか
キッと睨みつけてくるが


真っ赤に染まった顔で睨まれても
ソソラレルだけなんだがな。

心でほくそ笑みながら桜を見つめる。



「直哉は……す、素敵な人だから他の女の人に凄くモテて……。
いつか彼女が出来て私から離れちゃうって思ったら……」



恥ずかしさからか声が震えている。

それでも必死に伝えようとする桜が愛おしくて堪らない。



「俺が他の女のモノになったら嫌だか?」

「え……」

「この手でお前以外の頬に触れて……」

「直哉……」

「この唇で愛を囁いて……」


いつもの俺らしくないからか
桜は戸惑ったように俺を見るんだ。
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