ハレ後アメ
いつもと同じ列車の同じ車両に乗る。
冬休みが明けの二日目はテストから始まった。
一番前の席って横の人以外誰も視界に入らない。
テストの空気は嫌いだ。
40人近く同じ教室に居るのに誰一人喋らない。
その中で聴こえてくる物音は普段の何倍も耳に入ってくる。
紙をめくる音
シャー芯を出す音
遠くでトラックが走る音
その音たちは近くの音でも遠くの音でも静まり返っている教室で響くととても小さくてその音を聴くと緊張してしまう。
考えれば考えるほど気分が悪くなってくる。
早く終われと思うほど時間はゆっくりと進んでいるような気がする。
早く終われ早く終われと気をそらしつつ時計を見る
あと15分……
あと10分……
あと5分……
あと3分……
あと1分
あと10秒…………
終了のチャイムが鳴ると同時に回りは話し声や机椅子の音で騒がしくなり、私はドッと肩の力が抜ける。
私ほどこの静まり返った時間を嫌いな人は居るのだろうかと思うくらい周りの人達は平然としている。
静かなのは嫌いじゃない。
むしろ一人でいるときは音楽もテレビもかけずに静かにしている方が好きだ。
でも、大勢の人がいる場では違う。
なぜだろう。
神経質なだけだろうか。
気楽に気楽に。