この青空が溶けて見えなくなる前に。




ほっとしたのも束の間、次に聞こえてきたのは耳を疑ってしまうほどの衝撃的なもので。




「しかもさ、女連れてた!友里亜もいたんだけど友里亜じゃなくて、先生とタメっぽい美人!」


「それ絶対先生の彼女だって!もしかして婚約者とかかな?」


「先生ももう結婚してもおかしくないしね」


「えぇー、それ超気になる!」




遠のいていくクラスメイトの声が聞こえなくなっても、しばらく動けなかった。




息が出来なくなった。
私の考えていたことが着々と現実になってきて、当たり前のようにしてきた呼吸すら出来なくなってしまいそうだった。




重い体を無理に動かして教室に戻る。




「…希子。トイレ行ったきり帰ってこなくて心配したよ。
なんかあったの?」




教室に入ると友里亜が心配そうに眉をハの字にして近寄ってきた。




聞く勇気なんて持ってない。
でもそれよりも確かめたいという気持ちが勝って自然と口が開く。




「…友里亜。昨日大ちゃんと駅前歩いてたって…ほんと……?」


「…っ…それ、は…」




見たくなかったのに。
友里亜が目を丸くして動揺してる姿なんて。




『兄貴と行くわけないじゃん』って嫌そうに言ってくれるって思ってたのに。




友里亜が何かを話そうと口を開けた瞬間にもう一つの出入り口から先生が「HR始めるぞ~」と言って入ってきた。




先生に続いて入ってきたのはいつもとは違う真面目な表情をした大ちゃんだった。



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