この青空が溶けて見えなくなる前に。




HRが終わってすぐに家に帰って部屋のベッドに体を沈める。




『えー、この度副担の大輝先生が婚約された。
入籍や式はまだ未定らしいが、その準備のために婚約者の家に行くことになった。
そのため大輝先生は急だが今週の終業式をもって転勤する』




先生から聞かされたことに嘘だなんて思わなかった。




思いたくなかったけどやっぱりと思ってしまった。




薄々気付いてた。
大ちゃんに教科書を返しに行った時に見た、愛しそうに電話をしている姿。




日曜日に駅前で友里亜と大ちゃんが女性と一緒に歩いていたという目撃情報。




そのことを聞いた瞬間に動揺した友里亜の姿。




大ちゃんには大切な人が、恋人がいた。
十何年ずっと好きだった人にはもう既に恋人がいた。




私の思いを伝えることなく、大ちゃんに伝わることなく、私の初恋は担任の先生の言葉によって終わってしまった。




ベランダに通じる窓がゆっくり開いたけど、ベッドから体を起こすことは出来なかった。




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