この青空が溶けて見えなくなる前に。
ガチャ
噂をすればなんとやら。
隣の家の玄関が開く音がした。
黒髪ストレートロングが特徴の彼女は、遅れても何食わぬ顔で私を見る。
「…希子、おはよ」
それが二人いる幼馴染みの一人、友里亜(ゆりあ)という人物。
こっちは寝不足にもかかわらず時間通りに来たのに堂々と遅れてくる友里亜に怒りをぶつけたいけど、軽くあしらわれるのがオチなので「おはよ」と挨拶を返して一緒に歩き出す。
ちなみに希子というのは私の名前。
私と友里亜は同じ高校に通う、高2。
友里亜は幼稚園児の時に私の家の隣に引っ越してきたのがきっかけで、ずっと一緒にいる。
クールビューティーだけど、私の考えていることを分かってくれて、たくさん相談に乗ってくれる良き幼馴染み。
「…希子。昨日遅くまで部屋の電気ついてたけど、借りていったDVD見たの?」
「見たよ見たよ!んもうめっちゃキュンキュンしてさー!」
朝は眠くて不機嫌な友里亜だけど今日は珍しく話しかけてきてくれて、しかもその内容が話したくて仕方なかったDVDの話だったから、私は止まらずに学校に着くまで語り続けた。
友里亜は欠伸をしながらも時折頷いて聞いてくれていた。