この青空が溶けて見えなくなる前に。




屋上のドアの閉まった音が頭の中で繰り返し聞こえる。




やっと想い続けてきた気持ちを大ちゃんに伝えられた。
その想いは叶うことはないとしても、大ちゃんに届いたことが何よりも嬉しくて。




失恋したら涙が止まらないと思ってたけど、気持ちがスッキリしてて不思議と涙が出ない。




それもきっと自分で決めた2つのことが達成できたからかもしれないな。
1つは大ちゃんに想いを伝えること。




もう1つは……その前に。




「…いい加減出てきたら?」




後ろを見ずに隠れているであろう奴に声を掛ける。




大ちゃんは気付いてなかったけど、私にはしっかりと風になびいた髪が見えてた。




近付いてくる足音で誰か分かってしまうのは、大ちゃんと同じようにずっと近くにいたという証。



こいつの足音なんて覚えたくもなかったのに。




「意地悪なうえに盗み聞きも好きとはとんだ変態だね、ヤナ」




盗み聞きをしていた犯人、ヤナは私の隣に並んで校庭を見下ろしていた。




枯れて出ないと思っていた涙が、何故かヤナを見た瞬間に溢れそうになった。




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