この青空が溶けて見えなくなる前に。




「どうせ私が失恋して泣きじゃくる姿を笑いに来たんでしょ?
残念ながら私は泣いてませんよ~だ。

意地悪大魔王ヤナ様のご期待に応えられなくてすみませんね~」




どうせこう言えばヤナ(こいつ)は『お前のブサイクな泣き顔写真に納めてやろうと思ったのに』とか言うに決まってる。




その後に『誰が意地悪大魔王だ。お前は泣きブス女王だ』とか言ってひたすら私をからかって……




「…かっこよかったよ」


「…え、…?」




予想外の言葉に頭がついていかなくて、思わず聞き返してしまった。
顔も自然とヤナの方へ向ければヤナは相変わらず校庭を見下ろしている。




「…あいつに想いを伝える希子、かっこよかったよ。
よく頑張ったよ、お前。だから我慢すんな」




…やめてよ。
せっかく泣かずにこの初恋を終わらせられたのに。




どうしてそうやって泣かせようとするの。




どうして……




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