この青空が溶けて見えなくなる前に。



教室に着くとすれ違うクラスメイトに挨拶をして、窓際の一番前の席に座る。



ちなみに友里亜は私の後ろの席。



「友里亜ー、1時限目の授業なんだっけ?」



バッグから教科書やら筆記用具やら授業に使う物を準備しながら、友里亜に聞く。



私は整理整頓ができないタイプなため、配られる時間割をほぼ毎回のようになくす。



「…確か数学じゃなかった?」


「数学ね、オッケー……あ!!」



数学の教科書を探しているとバッグに入ってないことに気づき、声が大きくなった。



さすがの友里亜もこれには驚いたようで、肩をピクッと揺らした。



そして私のこの反応だけで数学の教科書を忘れたと理解した友里亜は、ため息をつきながらスマホをいじる。



「兄貴なら1時限授業なかったよ」



友里亜の言葉を聞いた瞬間に、口元が自然と綻ぶ。



気持ち悪いと友里亜に遠い目をされても、嬉しいものは嬉しいんだから仕方ない。



これで会う口実が出来てしまった。



「ちょっと借りにいってくるねー!!」



自分のドジさに内心感謝しながら、教室を飛び出した。
友里亜に「ほんと好きよね」と頬杖をついて見送られながら。


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