君と秘密のラブレッスン
「あ、真嘉!」
電車を降りてすぐ、ホームの柱の傍でスマホをいじっている真嘉を見つけた私は、彼女に駆け寄りながら声を上げた。
待ちに待った週末。
日曜の朝、私は実家の最寄り駅にいた。
ゆったりとした動作で顔を上げた真嘉は、私の姿を認めると小さく笑みを浮かべ、手にしていたスマホをポケットにつっこむ。
たぶん、特に必要があってスマホを眺めていたわけではないのだろう。
いとこの真嘉は身内の贔屓目無しに見ても圧倒的に可愛いから、ぼんやりしていたらすぐにナンパ合戦になってしまうんだ。
緩くウェーブがかった濃いブラウンの髪は肩より少し長いくらいで、今日はシュシュでひとつにまとめている。
細く長い手足に、小さい顔。
大きな瞳を縁取る長いまつげが、幼いころから羨ましかった。
それにしても、身長は私とそれほど変わらないはずなのに、どうしてこうもバランスに差があるように感じるんだろう。
……うーん、やっぱり顔の大きさのせいか。
「つぐみ。久しぶりだねー」
「うん、久しぶり。わざわざ迎えにきてくれてありがとね」
「いいよ。……ていうかその人は誰?つぐみの友達?」